現在、ビルドファイターズが盛り上がっていますが、その盛り上がりの一角を担うべく、「オールガンダムプロジェクト」が展開されており、まさかのヴィクトリーがHGUCにラインナップ。
ガンプラは、F91以降モビルスーツを設定上小型化する事により、従来の1/144から1/100に軸足を移してキットの高級化を狙ったのですが、「Vガンダム」では結局1/144のラインが最も充実する事になり、しかも小型であるが故に完成度もそれなりといったジレンマに陥っている印象があります。後半は、小スケールを生かして緻密さを売りにするアイテムも散見され、後の「G」や「W」におけるヒットの礎を築きました。
今回のHGUC化によって、遂に小型モビルスーツにも再度陽が当たる事となり、当時の1/144キットを体験している身からすれば、奇跡のような出来事です。野心的だった当時のキットと比べ、最近のHGUCらしい手堅い作りになっており、正に「組み立てるだけ」で素晴らしい完成品が手に入ります。
オールガンダムプロジェクトのフォーマットを踏襲している為、腕部の関節が設定と全く異なる解釈になっている事や、差し替え変形すらオミットされている等の問題もありますが、基本的にはヴィクトリーガンダムそのもののスタイリング。パーツ形状も印象的な曲面がちゃんと取り入れられています。
塗装は、いつも通り白立ち上げのオーソドックスな塗りにしています。パーツのサンディングが甘く、マスキングの際に黒サフごと持って行かれた箇所もありましたが、概ね順調に塗装出来たと思います。
全体的に良く出来ているキットですが、ちょっと気に入らなかった点があり、そこには手を入れました。
キットは、大腿部が輪切りになっていて、そこが回転するようになっています。可動部の設計としては優秀ですが、ヴィクトリーは腰アーマーが小さい為に目立ってしまい見た目がすこぶる悪いので、接着してボールジョイントに変更しました。
また、腕部はパーツの後ハメ加工が非常に難しいので、パーツを切り離して分割箇所自体を変えてしまう事にしました。
上半身アップ。頭部は劇中というよりは設定画に近い印象でまとめられています。殆どのパーツが、元々の設定上の分割線を意識してパーツ分けされているので、合わせ目を消す手間が省けます。コクピット周りのラインはガンダムの中でもピカイチだと思います。
リアビュー。各種ハッチは固定式となっており、極力ギミックを抑えて強度を確保しているようです。ビームライフルはいわゆるモナカ式なので、合わせ目消しは必須となります。
脚部の改修結果はご覧の通り。やはりこちらの方がスッキリして見えます。
ビームシールドが付属。当時品も低価格ながらクリアパーツ製でした。中心部にホワイトを吹いて雰囲気を出してみました。
ビームサーベルは二本付属。長さも結構あり、迫力があります。サーベルのグリップは取り外しが可能ですが、収納ギミックはありません。
展開状態のビームサーベルも付属。グリップはノーマルのビームサーベルと共通となっています。
トップリムやボトムリムといった「変形後」はフォローされていませんが、コアファイターが付属。キャノピーがクリアパーツでないのは残念ですが、手堅い出来映え。ちなみに、キャノピーはGXメタリックカラーで塗装しました。
小型の割にはパーツ分割が細かく、塗装には結構時間がかかりました。ただ、マスキングが必要なのは足首のグレー部とコアファイターの一部のみで、全体的に作業が楽でした。当時の1/144キットを体験した方に、充分オススメ出来るキットです。